Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

Paul Auster ”Moon Palace” -4

「ムーン・パレス」10ページほど。疲れたのであらすじだけ確認。

マーコの超貧乏生活が行き着くところまで行く。

In order to rise above my circumstances, I had to convince myself that I was no longer real, and the result was that all reality began to waver for me.

って,かなりヤバい。伯父さんの本を売りつくすことで,返って開き直ることができ,信念を曲げて友人たちに窮状を訴えようともする。しかし時既に遅く,ほとんどなんの助けにもならない。さらに開き直る以前に放った苦し紛れの嘘が原因で,頼りにしていた親友ジンマーとも会えない。

彼の引っ越しを知らぬまま,元のアパートを訪ねたことをきっかけにして,新しい住人となったジュリアードの学生たちと豪華な朝食を囲むという幸福に預かるが,ここでまた貧乏生活が災いする。空腹のあまり脳内事実としてご飯食べたりタバコ吹かして凌いでいたような状態で,いきなり目の前に美味しそうな食事を出されたものだから,脇目も振らずがっついてしまうのだ。とことん貧乏くさい。ふと気がつくと周りの空気が冷たくなっているし,話題にも全然ついていけない。

そんな状況だけに,中のひとりが何気にアポロの月面着陸やらせ説について話を振ったとたん,名誉挽回とばかり熱弁を揮い始める。…なんでもロスタンの戯曲で有名なシラノ・ド・ベルジュラックがアポロの前に月を訪ねているとか,月人が巨大人種で鼻が長ければ長いほど上品だという価値観を持ち,小さい鼻を恥じて自殺するとか死んだ哲学者の肉を食いその血をすする等など(シラノが旅行記に書いている)と滔々とまくし立てる。…本当に,シラノってそんな本,書いてるんすか?