Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

第二話 ”Her Real Name”読了

・Charles D'Ambrosio ”The Point” 49~70p

Navyを半年で退官した男Jonesが西に向かって車を走らせる。途中立ち寄ったガソリンスタンドで18歳の女の子をピックアップし,なおもドライブを続ける。女の子は厳格なキリスト教信者として育ち,自分に連なる系図の書かれたボロボロの革製聖書を離さない。ボサボサの髪にぶかぶかオーバーオールというだらしない出で立ち。だが口ずさむのは聖書の語句や聖歌。実は彼女は末期がん患者で,ボサボサ髪はカツラなのであった。

2人が出会ってから5週間後,彼女のがんは進行し続け,18歳の身体はまるで40過ぎにしか見えない,骨と皮になってしまう。激しく苦しむ彼女を見かね,Jonesは薬と酒で医師免許を剥奪された元医師から与えられたモルヒネを処方する。つかの間の安らぎを得るものの,結局彼女は死に至る。

自分を取り巻く厳しい環境から逃げてきたにもかかわらず,2人の生き様にはそこで培われた習慣がしっかりと染みついている。あまりパッとしない男女の救いのない話なのかもしれない。だが,彼女の口ずさむ聖歌も,Jonesが彼女を労る姿も不思議と非常に美しくリリカルだ。Jonesが語る,デンマークの北極探検家Knud Rasmussen(エスキモー・北米インディアンアジア起源説で有名)の話が周囲に屯するインディアンたちに結びつき,切ない味わいを醸し出している。

・・・とても上質な短編だと言えるだろう。しかし読んでいると,どうにもこうにも眠くなる。自分の英語力が貧弱なせいか,感性が鈍いためなんだろうな。トホホ