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The Oxford Book of Modern Fairy Tales -5

  • George Macdonald  "The Light Princess" 61~98p 読了

ジョージ・マクドナルドによるロマンティックな寓話。警句のようなものはないが,風刺がきいている。王家一族,王子などには名がないのに,さっぱり役に立たないヘンテコな王家御用達の中国人学者たちにはちゃんと名前がついてたりする。

なかなか子供の授からなかった王様夫婦のもとにようやく生まれた王女。しかし王様が王女の洗礼式に妹を招き忘れたために,王女の重力が奪われるという呪いを賭けられてしまう(妹は邪悪な魔女なのだ)。成長した王女は重力を奪われ,いつもふわふわ浮いている運命を背負わされることになるが,水中では重力を感じることができ,湖で泳ぐことに生きる喜びを感じるようになる。だが王女が愛する湖が,またしても魔女の呪いで枯れ果てる。王女の愛する湖を復活させるには,誰かが湖の栓となって身を捧げなければならないという。さらに,その呪いは国中にまで及び,すべての井戸まで枯れ果てることになる。

身体だけではなく,頭まで軽い王女。頭の足りない王様に,王様よりは賢いがやはり今ひとつのお妃。王家の人々は部屋に閉じこもって嘆き悲しんだり,イライラして当たり散らすだけ。

そこに王女を愛する王子がやって来て,彼女のために身を捧げるというわけだが,王子が命を賭けて湖の栓となっている間,王様夫婦は部屋でぐーすか寝てるし,王子の最後の瞬間を見届ける役目を仰せつかった王女もボートの上で眠い眠いとゴネる。王女は呪いで頭が軽くなっているのだから仕方がないが,救いがないのは王様夫婦だ。ハッピー・エンドのあとも,この王家に婿入りするとなると,王子にとってあまりいい未来図は描けないというのが面白い。