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4LDKマンションのインテリア変遷キロク

先人記念館へ

起床8時10分。目覚めると,既に夫が朝食のナポリタンとコーヒーを作ってくれていた。外はシトシトと小雨が降り続いているので,夏からペンディングの先人記念館へ行くこととなった。

記念館のある駅裏一帯は再開発が進められていて,県立美術館や科学館等を中心とした一大文化公園の建設が計画されている。科学館の先を案内に従って進むと,工事中の柵が現れ,いかにもまだ未完成という雰囲気になってきた。美術館や科学館に比べると,記念館周辺はまだ開発途上のようだ。さらに道を進み狭い陸橋を潜ると,大きな民家状の記念館が現れた。築15年以上と聞いたが,掃除が隅々まで行き届いていて,ずいぶん綺麗な建物だ。庭木の間のジョロウグモの巣が雨露に光ってとても美しかった。この巣はきっと敢えて残されているのだろう。

入場料を払って中に入ると,ビクトリア市と盛岡市の旗がパッと目に入った。まずはロビーに置かれたテレビで,金田一京助のビデオを見る。夫はこの数年,縄文人の文化から蝦夷アイヌの起源や歴史に興味を抱いているようで,いろいろあるメニューの中から,真っ先に彼のものを選び出した。金田一京助といえば,国語辞典の編集やアイヌ語の研究に携わった言語学者という知識ぐらいしか持ち合わせておらず,金銭的精神的に石川啄木を助けたことや,アイヌ叙事詩ユーカラ」の研究に打ち込んでいたことなどは初めて知った。

一階は金田一京助新渡戸稲造米内光政の記念室,二階は総合展示室という構造。夫は金田一室を中心に,私は新渡戸室を中心にウロウロ。イナゾーさんと言えば旧五千円札の印象が強いが,その他の写真はお札よりずっと優しげな感じ。東京の英語学校を出た後,札幌農学校を卒業したというのが意外だった。稲造という名前通り農学系の方でもあり,農業経済や経営関係の著作があったとは。農業経済学を専攻していたというのに何も知らず,恥ずかしい限りだ。

ジャンヌダルクの像に添えられた「英雄に惹かれていたようです」というメリー夫人のコメントも気にかかった。アーヴィングの "The Cider House Rules" で,主人公ホーマー・ウェルズが今まで自分が築き上げてきた幸せを投げ打っても,ヒーローとして生きる道を選んだという件を読んで以来,「Hero/Heroin(英雄)として生きる」というキーワードが頭の端に引っかかって離れない。"Hero" の意味や程度は各自様々だとしても,自分自身がそういう志自体すっかり忘れ去っているのではないか,たとえ今はそうだとしても,いつかは少しでもそうと感じられる生き方をすることができるだろうかなどと考える。

その他,洒落た猫足の碁盤が武家の儀式に用いられた*1というのが面白かった。今までは20世紀初期に活躍した国際人という漠然としたイメージしか抱いていなかったのだが,知れば知るほど興味深い人物だと思えてきた。彼の有名な著書「武士道」は英語で書かれたというし,一度原書を読んでみたいものだ。

子供たちがだいぶ疲れてきたようなので,ロビーで自販機のジュースを飲みながら新渡戸稲造のビデオを見,帰宅。

*1:なんと,碁盤の上に五歳の男の子を載せてお祝いをしたというのだ