Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

William Golding ”Lord of the Flies”  149~230p -5 読了

'lord of the flies'(=蝿の王) とは、悪魔ベルゼブルの異名なのだそうだ。

南海の孤島で、最初は全員の力で救助の可能性をかけた焚き火を灯し、小屋を作った少年たち。その精神的支柱となったのは白い「ホラ貝」であった。

彼らが変わっていったきっかけは肉を食べたいという気持ちだろうか。偶然、島にはおあつらえ向きの豚がいた。実際に自分たちの手で生き物を殺し、血を浴びるということによって、少年たちはsavageと化す魅力に取り付かれていく。

蛇だの幽霊だの翼のある生き物だのと形を変えて彼らを脅かしていた野獣というものも、本物の「血」を得ることによって、蝿が真っ黒になるまで集った、殺戮された豚の頭「蝿の王」として具現化する。少年たちの中でもナイーブな存在だったサイモンが、その声を聞く。実際、それが何者だったのかはわからない(確認するため三回も読み直してしまった)。だがそれを聞いたサイモンは、最初の生け贄となる。

そこから先、少年たちは一気呵成に野生化への一途を辿る。秩序と理性の象徴だったホラ貝は割られ、蝿の王が彼らの心を支配し始める。そして、蝿の王に従おうとしない少年たちは、彼らによって狩られていくこととなる。

この辺りの変貌は実に巧みで、息もつかせないくらいだ。「モスキート・コースト」の世界とはまた違う恐怖。12歳という、大人とも子どもとも定まらない微妙な年齢の少年たちだからこそ、ここまで来てしまうのかもしれない(・・言うまでもなく、うちの息子と同世代(-_-;))。

最後は結局、そうやって理性を叫ぶ相手(敵)を追い詰めようとするあまりに取った行動が、自分自身を滅ぼし相手を救うこととなる。それで単純な読者の私など、いちおうはホッとしてしまうのだ。しかし、50年前の小説ということもあるだろうが、秩序と理性を象徴する白い「ホラ貝」を支えにするのが金髪で魅力的な容姿のラーフで、蝿が集って真っ黒になった豚の頭「蝿の王」に魂を奪われるのが色黒赤毛で雀斑だらけのジャックという対比は、まぁ安直というかわかり易すぎるというか。もっともこういう状況では、そういう単純さが大きくモノを言うのかもしれないな。

ブタブタブタブタ・・・とにかくブタを表す表現がたくさん出てきます

pig=(英)個々のブタ((米)では hog)、swine=(古・文)(特に家畜化された)集合的な意味でのブタ、piglet=子ブタ、soar=去勢してない雄ブタ、sow=雌ブタ