Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

Brent Hartinger ”The Last Chance Texaco”  120~217p -2 読了

・・・いったん書いた感想を誤って消去してしまいましたorz// 気力が湧いてくれば、再度書くかもしれませんが、とりあえずペンディングです;;

8月23日追記:

またしてもハーティンガーにやられた。ゲイの高校生、顔に傷を負った子ども、そして今回の親を失ったティーンエイジャーと、自分の周囲をよくよく見渡せば何人かはいるかもしれないが、深く付き合うような機会はほとんどなく、ともすれば偏見という色眼鏡で捕らえてしまいがちなティーンの姿を毎度、じっくりとリアルに描いてくれる。ジュブナイル小説は、一般に字が大きくてページ数の割りに価格も高いからつい避けがちなのだけれど、ハーティンガーの作品だけは買って損はないと思う。

この作品の主人公ルーシィも、親というどんなことがあっても自分を守ってくれる存在を失い、「施設の子」という偏見に長年晒されてきたことによって、どうしようもなく疑り深く、なかなか本心を打ち明けることができない性格になってしまった少女だ。自分のことをわかってくれる存在がいないからこそ、本当は誰よりもそうした存在を欲しているはずなのに、「わかってもらえない」経験を長年積んできたために、理解しようと近づいてきてくれた人さえも傷つける・・・自分の本心を晒して傷つくのがどうしようもなく恐ろしいので、ついつい相手を傷つけて自分を守ろうとしてしまうのだ。おそらく100人中99人、「かわいげのない歪んだ子」というレッテルを貼るだろう、そんな少女。読んでいる自分自身、冒頭はどうも彼女に感情移入することができなかった。

が、ハーティンガーは、そんな状態に陥った子どもでも、その厚い壁を乗り越えて踏み込んでくれる人がいれば、本来、彼女自身が持っている純粋できれいな心が晒せるという仕掛けを施す。「普通の子ども」としてやっていくことのできる最後の砦、Kindle Homeや、ルーシィが学校で殴った相手ネイトとの出会いなどなど。もちろん、そこまでやってもどうしようもない子が大半というのがリアルな現実だろう。実際、作品でもその辺はきちんと描かれているわけだが、中にはルーシィのように、こちら側に戻ってこれる子もいるのだ。作者の伝えたいのは、きっとその辺りだろう。

この手の本って、得てして説教臭くなったり鼻白むものが少なくないのだが、その辺の匙加減がハーティンガーはぎりぎり上手くやっていると思う・・・まぁあくまでいい年した大人が読んだ限りなのだけど。彼の本は今のところ日本語に翻訳されてないのが、残念だ。翻訳されたら、もちろん息子にも読ませたいなぁ。