Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

Khaled Hosseini ”A Thousand Splendid Suns”  181~327p -5 読了

マリアムが30歳も年上の気難しいラシードと結婚するためにカブールに送られたのは、まだ15歳の時だった。それから20年近くが過ぎ、社会の動きが不穏になり始める。そして悲劇に見舞われて家を出た15歳の少女ライラが、マリアムの不幸せな家庭に同居することになった。お互いに慰めあうライラとマリアムの間に、姉妹のような深い友情が芽生え、やがて2人は母子のように強く結ばれる。時は過ぎ、やがてタリバンによるアフガニスタン支配が始まると、カブールの街角には銃声と爆撃が鳴り響いた。飢餓、暴力、不安にさいなまれる過酷な日々の中で、女たちは想像を絶する忍耐を強いられる。それでも、愛は予期せぬ方法で人を動かし、気が遠くなるような試練にも果敢に立ち向かわせる。死や崩壊を超えて最後に勝利を手に入れるもの、それは愛なのだ。本書は、傷ついた国家の忘れがたい叙述であり、心を深く揺り動かす家族と友情の物語だ。許しがたい時代を背景に、美しく胸が締め付けられるほど稀有な絆と決して打ち壊せない愛を描いたストーリー。(アマゾンより)

ふと気がつくと、図書館から借りてきた本なのに、明日が返却日!! 300ページそこそこの小説なら一週間か10日くらいで読めてしまうだろうと、高をくくっていたらこれだ。読むとグイグイ進むけれども、本に手が出せる時間そのものが確保できなかった。映画も最近見てないし、どうも心が渇いているなぁ・・・とほほ。と、慌てて夜中に一気読み。不覚にも、最後のジャリルのマリアムに宛てた手紙に涙。

「名誉の殺人」の犠牲になったスアド女史の"Burned Alive"をはじめ、イスラム社会の女性を扱った作品ではつくづく深い哀しみと憤りを覚えることが多いのだが、この話も同様。

マリアムが15で結婚に追い込まれた相手は、30歳以上離れた男性。それだけでもぎょえ~~だが、ライラに到っては、マリアムの夫が60を越えてから二人目の妻として迎え入れられる。彼女も嫁いだ年齢は14や15。もう日本的なロリ○ンなどという悪口じゃ追いつかない世界だ。後ろ盾のない女性には学問の機会は与えられず徹底して貶められるし、学があったらあったで学のない夫から「そんなところが気に食わない」とまた貶められる。

激動のアフガニスタンで状況は刻々と変わっても、バックグラウンドにはそんな謂れのない女性蔑視が根深く潜み続けている。もちろん、小説に登場するのはそんな男の人ばかりではないけれども、ひとたび自分を愛してくれる擁護者の男性を失ってそういう環境に放り込まれると、女性にはそこから逃げ出す手段はほとんどない・・・(鬱)。

もっともそんな過酷な状況だからこそ、ジャリルのマリアムに対する愛情やライラとタリクの恋、ライラの子どもたちに対する愛情、マリアムとライラの友情などがいっそう輝いて見えるのかもしれない。登場人物の誰一人として傷を背負っていない人がいない。それでも、きっと、幸せは掴めるはず。という作家の切なる希望や信念がひしひしと伝わってくるような、そんな小説だった。