Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

Final Exam 194~218p  -7 読了

筆者だけでなく、おそらくはほとんどの医師が、病気や怪我といった苦境から人を救いたいという気持で医師を志すのだろう。だが現実問題として人の死は必然であり、自分の力や現在の医療では救えない命を目の当たりにすることも少なくない。

自分を頼りにする患者や友人の身に垣間見える、避けられない死の現実。死の淵で頼りにされるというプレッシャー。

そうした重みから背を向けようとする若い頃の筆者の行動に、愕然とした。「こんなに頼られてるのに、最期の最期でこりゃないだろう」と・・・しかし、医師だって死とまともに対峙するのはキツイのだ・・・きっと、普段死を見ることのない一般人には想像もできないくらい。

人間にとって、人の死から受ける精神的なダメージはこれほどまでに大きい。積極的な治療には手を貸すが転帰が悪くなると投げ出す医師や、敢えて患者とは心情的にコミットしないようにする医師も出てくるわけだ。すべての医師が超人的な精神を持っているわけではなく、死を受けいれるのは容易いことではない。医師に人間的な対応を求めるならば、その心情も理解しなくてはならない。

しかし・・・この本では詳しく書かれてないけれど、いわば医師から見放された患者を最期まで看ているのは、看護師なんだなあと。医師と看護師は役割が違う。治る見込みがなくなり、対処方針の中心がcureからcareに変わった時点で看護師の責任が一段と大きくなる・・・粛々と看護師が引き受けている死の重みに慄然とする。

Final Exam: A Surgeon's Reflections on Mortality (Vintage)

Final Exam: A Surgeon's Reflections on Mortality (Vintage)

このカバー、すごく好き。