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4LDKマンションのインテリア変遷キロク

ダグラス・クープランド 「神は日本を憎んでる」

久しぶりの翻訳もの。日本人としてこのタイトル、かなり気にかかってしまい、図書館で借りてきた。英語オリジナルの作品は発表されず、日本語訳だけ日本で出版されてたというのに、嫌な意図を感じる。

・・どうも訳が気持ちが悪い。男子高校生がクラスの女子に「きみ」なんて呼びかけたり、語尾に「さ」「かい」「なの」とか付けるのかなぁ。まぁそうした細かい違和感は端々で感じつつも、何のかんのと最後まで読まされてしまったのだが。。

主人公ヒロは、埼玉に一戸建ての家を建てたごく普通のサラリーマン家庭の元で、ブランド好きの姉と暮らしている。話は彼の高校の美しいクラスメートがモルモン教にハマり、布教にやってきたカナダ人と駆け落ちすることから始まる。ヒロはその後、なんとなく早稲田を卒業するも、バブル崩壊後の不景気でずるずるフリーターと化す。そして地下鉄サリン事件勃発。親友テツの妹マリコが事件に巻き込まれて片肺を失い、ヒロは彼女に執着し始める。そのテツも東大大学院卒と高学歴だがなぜか定職に就けず、バーで働き続けている。マリコはいつしか乱れた生活を送るようになった挙句、行方をくらませる。そんな彼女を捜索するテツに請われて、ヒロはテツとともにカナダに行くこととなる。裕福なテツの父親の援助で、マリコを捜しながらカナダで暮らすうち、ごく普通だと思っていた両親が衝撃の事件を巻き起こす。。

何だか巧みにリアリティがあるように作られていながら、最初から最後まで書き手の計算が鼻につくような、嫌らしい感じの小説だった。その嫌らしさがクープランドの魅力なのかもしれないが、それが日本語に翻訳されるとオリジナルの英文で感じる以上にキツクなるようだ。

さて。「自分が神に嫌われていると思っていたが、日本人が神に嫌われているだけだった」とクープランドはマリコに言わしめているが、ならば果たして、その神が本当に欧米人たちを愛していると言えるのだろうか。