Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

Doris Lessing ”The Grass is Singing” 190~206p -10 読了

久々にペーパーバックを読みきった。非常に読みやすい文章。しかし内容は重かった・・・。

主人公のメアリーは、人種差別が当然のように行われていた頃の南アフリカで生きる白人女性。私自身の人生とはほとんど接点のないような世界の話なのに、彼女の焦りや戸惑いは自分が抱えてきたものと恐ろしいほど重なった。彼女が自分らしさに固執することによって、結果的に自分や夫を追い詰めていってしまう様は、あまりの生々しさに吐き気すら覚えるほどだ。

そういうひとりの女性の哀しい生き様に圧倒されるとともに、アパルトヘイト下で生きる白人女性のアフリカ人に対するフツーの感覚(?)のエゲツなさに、ただただ愕然とさせられた。アパルトヘイトという言葉は理解しているつもりだったが、ミクロレベルで描かれるありのままの個人的感情に潜む問題の根深さをまざまざと見せつけられたあとでは、自分は何もわかってなかったのだと認めざるを得ない。

こんな本が50年も前に書かれ、しかもデビュー作だなんてとんでもないことだ。