Complications 130~145p -8

• 吐き気(nausea)

一口に吐き気といってもいろいろあって、食中毒からつわり、乗り物酔い、抗がん剤の副作用など様々だ。食中毒に伴う吐き気は悪いものを体から追い出すため、つわりは母親より感受性の強い胎児を守るためといった具合に、吐き気は生体防御の一つと考えられるそうだ。乗り物酔いの吐き気はそれらより説明が難しく、生来人間が慣れていなかった動きへの対応過程みたいな感じ。

とかなんとか研究は進みつつも、未だ原因不明の吐き気もあって、安定期はおろか出産直前まで治まらない吐き気に苦しんだ妊婦が例として挙げられている。本人の苦しみのわりに（出産の痛みは忘れても、つわりの苦しみは忘れられない女性が多いそうだ）、吐き気の扱いは医療側からあまり重きを置かれないのが、患者にとって辛いという。新しい薬も、嘔吐(vomiting)は止められても吐き気は止められず、医療側の期待のわりに患者側の評価は良くないらしい。こうした薬より、自分の苦しみに理解を示し、苦しみを分かち合おうとするような医療のあり方などのほうが、患者への影響が大きいとも。

なかなか考えさせられる。