Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

Kiran Desai ”The Inheritance of Loss” 43~86p -2

舞台はヒマラヤの北東、世界第三高峰カンチェンジュンガ麓の小さな村。ネパールとインド、中国、パキスタンらの勢力が拮抗する地区である。16歳の主人公サイは、宇宙飛行士だった両親の死後、母方の祖父であるケンブリッジ卒の元判事に引き取られ、老朽化著しい屋敷でひっそり暮らしている。彼女の周りにいるのは、爬虫類のような顔をした祖父と年老いたコック、家庭教師として雇われた老姉妹など、年配者ばかりである。彼らの子どもたちはそれぞれイギリスやアメリカに飛び出してしまい、村には若者がいないのだ。

そのような穏やかではあっても退屈極まりないヒマラヤの生活と、コックの息子ビジュが不法就労者として暮らすNYの様子が、時を交錯させながら交互に描かれていく。そして、時が止まったようなサイの生活にも、武装した少年たちが屋敷を襲ってささやかな生活資材や錆付いた銃を奪っていった日から少しずつ変化が訪れる。。

・・・著者のキラン・デサイがほぼ同世代というだけあって、作中、主人公サイを取り巻く時代が、自分が同じくらいの年頃に過ごしてきた時代と重なって、面白い。ナオミ・キャンベルやブルース・スプリングスティーンといった芸能関係の話題が共通する~;; 自分が高校や大学にいた頃、ヒマラヤ山麓でこんな暮らしをしているティーンエイジャーがいたと想像するのは、なかなか興味深い。彼女だけでなく、ジュンパ・ラヒリや"Brick Lane"のモニカ・アリなんかも、同世代組だ。とりあえず同時代を生きてきた女の一人として、彼女たちの作品には興味を抱かずにはいられない。