Home Again

4LDKマンションのインテリア変遷キロク

Paul Auster ”The Book of Illusions” 270~287p -14

60min。

”The Inner Life of Martin Frost”観賞後,サンドイッチを食べている最中にFriedaが帰還する。Hectorの遺体を焼くのは夕方になるが,その前に映画のフィルムを焼くという。しかもどうやらその際,Zimmerにはいて欲しくない様子。そうしたやり方にAlmaは怒りを爆発させるが,Zimmerは大人しく引き下がり,Almaの自宅に待機することとなる。

Almaの自宅でシャワーを浴びながら怒りを静め,Friedaの行動を熟考。そもそも彼女がZimmerに来てもらいたいとの手紙を出したはずなのに,この仕打ちはどういうことか。FriedaはHectorの意志に従って手紙を書いただけで,実は始めから自分たちの閉じられた世界に誰も介入してもらいたくなかったのではないかと推測するZimmer。

もともとこのような生活なり映画製作は,Hectorのpenance/悔い改めとして始められたもので,Friedaには何の罪もない。彼女は,Hectorの死と同時にすべての作品を葬り去ることを目的として生きてきたとも考えられる。そういう夫婦,そういう生き方もあるのかと考えさせられてしまう。

フィルムの焼かれる臭いが立ちこめる中,ZimmerはAlmaの自宅を探索する。…なんかいつもAusterの描く男の人ってこういうことに執着するのだな。Liviathanの主人公Sachsも殺した男の妻の家に寝泊まりすることになって,家中調べまくっていたのを思い出した。実際,どのくらいの男性がこういうことに興味を持つのか知りたいものだ。少なくともうちの男衆は,さっぱり興味を感じないタイプのように見受けられるのだが。。

閑話休題。Almaの書斎を探索するうちに,コンピュータに入った彼女の原稿”The After Life of Hector Mann”とHectorの日誌を発見する。Hectorの日誌にはFriedaと出会い,Tierra del Suenoの土地を買って”the Blue Stone Ranch”を始める直前のエピソードが書かれている。サファイアか何かかと思って拾おうとした石が,実はsaliva/唾だったという話。それがこの土地の名の由来となったらしい。

Hector had already seen that stone, and he knew that it didn't exist, that the life they were about to build for themselves was founded on an illusion.

幻想に基づいて始められた生活は,その人が亡くなり次第,何もかも焼かれてしまうべきだということか。

…後世に名や実を残すことよりも,自分らしく生き自分らしく死ぬことを優先させる生き様というものに魅せられる。そう考えると,自分の作品を意に反して世に残されたKafkaは,あの世で不幸な思いを抱いているのかもしれないな。